第4章 感染の時間
「ッ…!
だから…僕の傍に居ろと言っているんだ」
「もっと可愛く言ってくれたら、聞いてあげなくもないけど?」
こんな弱ってる浅野クンはレアだから、からかえる時にからかっておかないとね。
「…傍に…居て…」
甘えを知らない浅野クンはここが限界かな。
「いーよ、居ても。
てゆーか元々そのつもりだったし。
弱った浅野クンの手なんていつでも振り払えるしね」
「…卑怯だ」
「はいはい、なんとでも言って。
完治に必要なのは体力、栄養、休養だよね。
熱測ろっか、浅野クン」
「今朝測ったぞ」
「いやいや、また上がってるかもしれないし。
念の為だよ、ね?」
「…あぁ」
渋々体温計を受け取り、脇に挟む浅野クン。
ピピピ…。
「何度?」
「37度だ」
「嘘つき。
あんなに手熱かったのにそれはないでしょ。
見せて」
「嫌だと言ったら?」
「帰る」
「…ほら」
帰られるのがよっぽど嫌なのか、渋々体温計を渡した。