第3章 風邪の時間
「ね。
寝ても良い?」
「今だけだからな」
「はいはい。
じゃ、おやすみ」
浅野クンの背中…あったかい。
浅野クンの…匂い。
落ち着く。
「ん…」
「起きたか」
「ここ、どこ?」
「僕の家の僕の部屋だ」
「あー…そう」
「少し起きれるか?」
「なんで?」
「熱を計れ。
それから起きて水を飲め、あとは…」
「煩いんだけど」
「煩いって…僕は君の為を思って」
「暑い」
「大丈夫なのか?」
「へーき」
「本音は?」
確実に強がっている赤羽。
「…キツイ」
笑顔が消えた赤羽の辛そうな顔。
「あつ…」
制服に手をかけるが、力が入らないのか中々進まない。
「…脱がせて」
「は?」
「だって脱げないんだもん。
脱がせてよ」
「…生殺しは流石の僕もキツイな」
ボタンを1つ1つ丁寧に外して行く。
指先に触れるのは、普段触れている体温よりも遥かに高い体温。
辛いだろうな。