第3章 風邪の時間
「…辛くなったら言ってよ」
「ん」
磯貝が諦めたのを横目で見ると、こっそり息を吐いた。
あっぶね。
ぶっ倒れないようになんとか脚に力を込め、集会をやり過ごす。
「カルマくん?
もう集会終わったけど…」
「あー…うん」
ぼんやりと霞んで見える渚くんの顔は、どこか心配そうな顔をしているように見えた。
「帰らないの?」
「…帰るよ」
脚が動かないや。
どうしよっかな。
「赤羽」
浅野クンの声だ。
「っ浅野くん!」
「少し良いか?」
「ん」
浅野クンの声には身体が動いた。
人気のないところへ移動する。
「なんなの?」
「強がりはもう終わりで良い」
浅野クンにそう言われると、なぜか途端に身体の力が抜けた。
「ッ…」
「赤羽!」
グラッと目の前が揺れた。
「全く君は…ムチャをし過ぎなんだ」
気がつくと浅野クンに抱き止められていた。
「帰るぞ」
「おぶって、歩けない」
「ふぅ…今日だけだからな」
「ん」