第2章 匂いの時間
「なら止めるか?」
「我慢出来んの?」
「…」
「…」
沈黙が続く。
「…嫌じゃ、ないか?」
「嫌なら本気で抵抗してるっしょ」
「そうだな。
なら…いいか?」
「だから聞かないでって言ってるでしょ。
耳ついてないの?」
「この状態での挑発は形勢を不利にさせるだけだぞ。
…僕は挑発されればされる程燃えるんだ」
耳元に口を寄せ、低く囁いた。
「ッ…」
「君の身体は弱いところだらけだからな」
「そんなことないし」
「例えばココ、とか」
「ッ…ふ…」
耳たぶを歯で軽く食み、輪郭に沿って舌を這わせる。
「ン…ぅ…それ…やだ」
耳を愛撫する音が直接鼓膜を刺激する。
聴覚を犯され、顔に熱が集まって行く。
「ココも」
熱を持ち始めている首筋に触れる。
「興奮しているようだな」
いつも低い赤羽の体温が、今は僕よりも高くなっている。
「黙って出来ない訳?
いちいちそんな実況されてたら堪まんねーての」
「善処するさ」