第2章 匂いの時間
なんでまたこのタイミングで…!
「…俺も」
なんか乱されっぱなしなのも癪だから。
「もう少しそのイジワルなとこを直してくれたら、もっと好きになると思うよ」
ボソッと呟いた。
「それは無理だな。
好きな子程苛めたい、と言うだろう?」
「ガキか!
それは小学生の恋愛事情でしょ」
呆れた。
「そうなのか?」
こんな疎い奴に動揺させられたなんて。
「そうなの。
中学生なら好きな子程甘やかしたい、じゃないの?」
「それは出来ないな。
甘やかすのも甘えるのも好きじゃない。
第一、そんなもの君のプライドが許さないだろう?」
「…そーでもないよ?
俺、浅野クンになら甘えてやっても良いけど」
胸ぐらを掴んでいた手を離し、ツー…と唇をなぞる。
「…!
意外だな。
まさか君の口からそんな言葉が出るとは。
じゃあこのまま…甘えて貰おうか」
ドサッ、と背中がベッドについた。
目の前には天井と、どこか楽しそうに微笑んでいる浅野クンの顔。
もしかしなくとも…押し倒されてる。