第3章 第参ノ獄.行方
「麗紅さんすごいっすね、お2人の喧嘩を止められるなんて」
「私は特別なことをしているつもりはないのですが…」
「ごく普通に止められるってのがすごいんですよ」
「そうなのですか?」
「そういうもんですよ」
麗紅と桃太郎が話していると、白澤の終わったという声が上がった。
「1ヶ月は絶対動かすなよ」
「わかりましたよ…麗紅さん、帰りましょう」
「はい、鬼灯様」
「料金はいらないよ。今回のは麗紅ちゃんの救出でやむを得ない怪我だったし」
「それはどうも。では、また」
鬼灯と麗紅が踵を返そうとすると、白澤が麗紅の手を取って微笑んだ。数々の女性をおとしてきた甘いマスクだ。
「麗紅ちゃん、この鬼神に何かされたら僕のところにおいでね」
「は、はぁ…」
「麗紅さん、こいつの言うことなど間に受けなくていいですよ。こいつのところへ行くことはおすすめしません」
「何故ですか?」
「性的な意味で食われかねないからです」
「……」
麗紅は鬼灯の後ろに隠れ、白澤を疑惑の目で見つめる。
「やだなぁ、いくら僕でも麗紅ちゃんにそんなことしないよ。ついさっきあんな目に遭ってるの見ちゃったし」
「…本当ですか?」
「本当だよ。君に酷いことはしないし無理矢理強要したりもしないから、安心して」
にっこりと笑い、麗紅を安心させる。麗紅はほっとして鬼灯の後ろから出てくるが、鬼灯が彼女の肩を抱き寄せ、腕の中に閉じ込めるのだった。