第6章 第陸ノ獄.子守唄
麗紅は鬼灯を探すためキョロキョロと辺りを見回しながら名前を呼ぶ。だが、返事も何も無いため心に不安が広がっていく。
「加々知さ……鬼灯様…どこですか…?私を…1人にしないで…」
やがて麗紅はまるで幼い子どものようにうずくまり、立てなくなってしまった。とても暗い影に囚われていくような感覚に、怖くて怖くて仕方がない。
そんな麗紅の後ろから愛しい声がした。
「麗紅!」
「!!ほ、ずき…さま…?」
「探しましたよ…先に行かないでください。私の傍にいなさい」
「鬼灯様…ごめんなさっ…ふわぁんっ…!」
鬼灯の腕に包まれ、温もりを感じた麗紅は安堵したせいか泣き出してしまった。鬼灯はそんな麗紅を愛おしそうに優しく抱きしめているのだった。
しばらくして落ち着いた麗紅は、鬼灯の腕にぎゅっと抱きついていた。
「麗紅…傍にいろとは言いましたが、さすがに歩きづらいですよ」
「…すみません……でも…怖くて…」
「…もう大丈夫ですから…ほら、こうしていれば離れません」
そう言った鬼灯は麗紅の細くて触れれば壊れてしまいそうな指に自分の指を絡めて手を繋ぐ。いわゆる恋人繋ぎに、麗紅は顔を赤く染めた。
「っ…!///」
「おや、腕にしがみつくのは平気なのに、手を繋ぐのは恥ずかしがるんですね」
「っ、だって…この繋ぎ方…///」
「…貴女が私から離れるのが悪いんですよ」
「…怒ってらっしゃいますか?」
「…えぇ、少し。だからこれはお仕置きです」
そう言って前を向く鬼灯の横顔は、夕日に照らされているせいなのか、はたまた別の理由なのか、赤く色づいているように見えた。