第3章 第参ノ獄.行方
「…麗紅さん…」
「鬼灯様、もうやめてください…っ!私は大丈夫ですから…」
「まだ制裁は終わっていません。貴女をあんな目に遭わせたのです。それなりの報いを受けさせます」
狂気に取り憑かれたように言う鬼灯の顔は酷く残酷に歪んでいた。麗紅はそんな鬼灯を見て、涙を流した。
「鬼灯様…お願いです…このままでは、貴方が壊れてしまいます…そんなの嫌です…」
「麗紅さん…?」
「鬼灯様…闇に呑まれてはいけません…貴方は私の大切な方…そんな鬼灯様が傷つく姿は見たくありません…元はといえば、私がこんな罠にかかったのがいけないのです。鬼灯様が制裁のために傷つく必要はありません…」
泣きながら鬼灯を見つめ、説得する麗紅。そんな彼女の頬に、鬼灯は優しく手を添えた。
「鬼灯様…?」
「…怪我…手当てしなくてはいけませんね…帰りましょう」
「!!はい…!」
冷静さを取り戻した鬼灯に、白澤が近づいた。
「おい、右手出しなよ」
「なんですか」
「いいから…あーあーやっぱり折れてるよ。じっとしてろ」
白澤は応急処置をしながらぼやく。
「ったくやりすぎなんだよ。麗紅ちゃんが止めなかったら右手一生使えなくなるとこだったぞ。麗紅ちゃんに感謝しろよな」
「…麗紅さんにはとても感謝していますが、貴方に言われると物凄く屈辱です」
「んだとぉ!?」
またいつもの喧嘩が勃発しそうになり、2人が睨み合っていると、麗紅がクスクスと笑い出した。