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怨みの果てに【鬼灯の冷徹】

第3章 第参ノ獄.行方


鬼灯の冷静さはそこでぷつりと切れ、窓を金棒で叩き割って中へ押し入った。その鬼灯を追うように、白澤も中へ入る。
突然の出来事に、2人の男は驚きを隠せない。

「なっ、鬼灯様!?」

「視察に行ってたはずじゃ…」

「…白澤さん、彼らですか?」

「あぁ、間違いないよ」

「わかりました。では容赦しなくていいですね」

常闇の鬼神は怒りをむき出しにして男達をボコボコにする。
白澤はその間に女性の元へ行くと、2人が確信した通り、行方不明だった麗紅が着物を脱がされ腕を縛られ、猿ぐつわを噛まされていた。
白澤はすぐさま拘束を解き、弱った麗紅を腕の中におさめた。

「麗紅ちゃん!大丈夫!?」

「…白澤、様…ありがとうございます…っ」

「もう大丈夫だよ。とりあえず応急処置するからじっとしてて」

「はい…」

麗紅は白澤の言う通りじっとしていたが、目の前で鬼灯が犯人を痛めつけている姿に心が痛んだ。
鬼灯は怒りに身を焦がし、自らの拳から流血してもなお2人を殴り続けている。
犯人は許してくださいと懇願するが、全く聞こえていないかのように殴り続ける鬼灯。それは狂気に満ちていて、麗紅には彼自身をも滅ぼしてしまうように思えた。
白澤もその様子を見て、いつもの鬼灯ではないことを悟った。

「あいつ…ヤバいよ。手の骨絶対折れてる…」

「っ!」

なお殴り続ける鬼灯の背中に、麗紅は強く抱きついた。
鬼灯は殴るのをやめ、麗紅を見た。
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