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怨みの果てに【鬼灯の冷徹】

第3章 第参ノ獄.行方


脇道を進んで行くと、人気のない場所へと出た。そこは暗く、触れると葉が剣になる木が生い茂っている。

「こんなとこ、誰か通るか?」

「…通ったみたいですよ。ご丁寧に土に足跡が残ってます」

「ほんとだ…じゃあこの木はカモフラージュのために通った後に植えたって感じかな」

「そう考えるのが妥当でしょうね。行きますよ」

「わかってるよ」

2人は木に触れないように注意しながら進む。それでも全く触れないのは不可能で、少しずつ傷が増えていく。
10分ほどかけてくぐり抜けると、古い小屋がひっそりと建っているのを見つけた。

「あれは…誰かいるのかな?」

「足跡があそこまで続いています。静かに近づいて窓から中の様子を見てみましょう」

2人は足音を鳴らさないよう、慎重に小屋へ近づいた。すると、中から声が聞こえてきた。

「往生際悪いっすね。女が男の力に敵うわけないじゃないですか」

「そーそー、さっさとヤられてくださいよ」

「ん"ー!」

口を塞がれているのか、僅かにくぐもった悲鳴のような女性の声を鬼灯は聞き逃さなかった。
こっそり窓から中を覗くと、暗くてはっきりとはわからないが2人の鬼が女性を掴み、着物を剥ぎ取っている。その着物は…







黒地に鮮やかな彼岸花が描かれていた。





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