第3章 第参ノ獄.行方
鬼灯と白澤は地獄へ戻り、閻魔大王の元へ向かった。
「閻魔大王!」
「あ!鬼灯君に白澤君、何か手がかりはあった?」
「一週間前、麗紅が天国へ行ったときにすごく上の空だったそうなんですが、何か知りませんか?」
「上の空?あぁ、確かに少しぼーっとしてたね。理由はわからないけど、疲れているわけではなさそうだったし…」
「そうですか…いつもに比べて隙があったことは事実ですね。そこを何者かに狙われたか…」
「何者かってどういうこと?」
鬼灯は麗紅が何者かに誘拐されたかもしれないことを話す。閻魔大王はその推測にとても驚いた。
「まさか…そんなこと、一体誰が?亡者はみんな服役中でそんなことする元気はないよ?」
「はい、必然的に亡者が除外されるのはわかっています。そうなると、妖怪や鬼の可能性が高い」
「でもこの広大な地獄に住む妖怪や鬼は大勢いるし、彼女を知らない子は獄卒にはいないし、誰でも容疑者になりうるね」
閻魔大王と鬼灯が考えを巡らせていると、白澤が口を開いた。
「ねぇ、あの時、僕の店まで麗紅ちゃんを呼びに来た鬼に話を聞いてみたらいいんじゃない?最後に見たのは彼らなわけだし」
「なるほど…その鬼、誰だかわかるんですか?」
「もちろん。ただ、名前はわからないから顔を見ないことにはなんともね」
「…白澤さん、上空からその獄卒を見つけることは可能ですか?」
「僕は神獣だよ?なめてもらっちゃ困るね」
「では行きましょう」
白澤は本来の姿になり、鬼灯を背中に乗せて刑場を飛び、麗紅を最後に見た獄卒達を探した。