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怨みの果てに【鬼灯の冷徹】

第1章 第壱ノ獄.怨みの中で


鬼灯がため息を吐くと同時に、女性の体はむくりと起き上がった。
耳は尖り、鋭い牙と2本の角が生えた。
鬼灯と同じように、人から鬼へと変わり、蘇ったのだ。
目を開けた女性は不思議そうに首を傾げる。

「私…死んだんじゃ…?」

「…貴女は鬼火の力で鬼となったのですよ」

「…鬼に…?」

女性は信じられないといった様子だが、水たまりに映った自分を見て納得した。

「…なるほど…本当に鬼になったのですね…」

「はい。貴女は1度死んだ身です。この現世では生きていけませんし、私と一緒に来ませんか?」

「どこへですか…?」

「地獄へ、です」

「…私は罰を受けるのですか…?」

「いいえ、貴女はもう鬼ですので、地獄で暮らしていただきます。他に行く宛もないでしょう?」

確かに、女性には行く宛などなかった。
女性は少し考え、頷いた。

「…お言葉に甘えて…よろしいですか…?鬼神様…」

「構いませんよ。念の為、貴女の生前の罪も考慮させていただいた上で、貴女の今後を決めます」

「…はい」

覚悟は出来ている、という視線を鬼灯に向けた。
鬼灯は女性を先導し、地獄へと戻って行くのだった。

「そういえば、貴女の名前を聞いていませんでしたね」

「…1番、です」

「数字、ですか?」

「はい、私に正式な名はありません」

「…ふむ、なるほど…私は鬼神、鬼灯です。閻魔大王の補佐官をしています。以後、お見知りおきを」

「閻魔大王様の…本当にいらっしゃるのですね…」

1番と名乗る女性が感心していると、閻魔殿に到着した。
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