第1章 第壱ノ獄.怨みの中で
2人で夕食を食べ、閻魔殿に帰ると、何やら騒がしくしている亡者がいた。
「閻魔大王。この騒ぎは一体なんですか」
「あぁ鬼灯くんいいところに!亡者が10人ほど一斉に暴れ出してね、なんだか武道に強いらしくてやたら粘るんだ」
「はぁ…全くどこのどなたで…!」
その亡者たちの姿を見た瞬間、鬼灯は麗紅を後ろに隠した。麗紅は怯えて震え、顔は真っ青になってしまっている。
その亡者達は紛れもなく、麗紅を殺した人間達だったからだ。
「…なぜあの方々がここに?」
「事故を起こしてそのまま亡くなったみたいだよ」
「麗紅さん、大丈夫ですか?」
「は、はい…」
暴れている亡者の1人、麗紅の雇い主だった男が麗紅の姿に気づいた。
「1番?1番じゃないか!お前、鬼になったんだな!ちょうどいい、俺達を生き返らせるように閻魔に言え!!」
「ビクッ!!…い…いや…です…すみません…貴方はもう…私のご主人様ではありません…」
「なんだと…?捨てられていたお前の面倒を見てやったのは誰だと思ってんだ!」
麗紅に罵声を浴びせ続ける亡者は、鬼灯が投げた金棒によって遮られた。