第1章 第壱ノ獄.怨みの中で
そのお店は衆合地獄にある花街の一角にあった。
「さすが、白豚らしい場所を紹介されたもんですね」
「…あの方は…女性好きなのですか?」
「はい、どうしようもない女たらしです。まぁそれはさておき、行きましょうか」
「はい」
店に入ると、綺麗な着物がたくさんあって麗紅はキョロキョロしている。
「何か好きな柄とかありますか?」
「…わかりません…こんなお高そうなものは初めて見るので…」
「では、いろいろ見てみましょうか」
「はい…!」
2人でしばらく着物を選んでる。ふと、麗紅の目に止まった着物があった。それは、黒地に紅く咲き誇るたくさんの彼岸花が描かれた着物だった。
「…彼岸花…」
「麗紅さん、何かいいのが…」
「鬼灯様、私…この着物がいいです」
「!彼岸花ですか?」
「はい。鬼灯様が名付けてくださった花の着物を着たいです」
「…わかりました。店員さん、この方の試着をお願いします」
店員は麗紅を連れて試着室へ入り、しばらく着付けてる。
鬼灯は他にもいい着物がないかと探していると、閻魔大王や自分が描かれた着物なども見つけた。出てきたら麗紅に見せてみようという考えが浮かぶ。