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怨みの果てに【鬼灯の冷徹】

第1章 第壱ノ獄.怨みの中で


そして翌朝。鬼灯が目を覚ますと、ふわふわと甘い香りが鼻を掠めた。

(なんでしょう…たしか…この香りは…)

うっすらと目を開けると、腕の中にはすやすやと安心したように眠る麗紅がいた。
ただ、彼女が着ている着流しはやはり大きいせいかはだけて肩が出ていて、胸の谷間が丸見えだった。

「っ…!」

鬼灯は一瞬理性が揺らいだが、持ち前の精神力で堪えた。

(やはり危ないですね…それにしても…これほどまでに惹かれる方には出会った事がない…)

鬼灯は麗紅を見つめながら、頭を撫でてみる。すると、麗紅はすりっ…と鬼灯の胸元に擦り寄った。その仕草もまた、鬼灯の心を揺らすのであった。
こんな感覚は初めてで、鬼灯は柄にもなく戸惑っていた。
しばらく戸惑っていると、麗紅が目を覚ました。

「ん…ほ…ずき…さま…」

「!おはようございます、麗紅さん」

「おはよう…ございます…」

麗紅は寝ぼけているのか、鬼灯の腕に抱きついた。意外と大きな胸に鬼灯の腕は挟まる。

「っ…!?」

「…♪すりっ…」

麗紅は鬼灯に甘えるように擦り寄る。鬼灯は動揺して固まってしまった。

「……麗紅さん…買い物に行きますよ」

「ん……!!す、すみません、失礼致しましたっ…///」

麗紅は我に返って鬼灯から離れ、着流しを正す。その顔は恥ずかしさで耳まで真っ赤に染まっていた。

「…大丈夫ですか?」

「は、はいっ…本当にすみません…///」

「…では、支度をしましょうか」

「はい…///」

2人は身支度を整え、白澤に教えて貰った着物屋に出掛けた。

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