第1章 第壱ノ獄.怨みの中で
「麗紅さん、その傷では風呂も沁みたでしょう。大丈夫でしたか?」
「あ、はい。お香さんが避けて洗ってくださったので、なんとか」
「そうですか。私はこちらで寝ますので、貴女は布団で寝てください」
鬼灯がいつも寝ている場所に麗紅を寝かせ、鬼灯は床に直で寝転がる。それを見た麗紅は慌てて布団から出る。
「そ、それでは鬼灯様がお風邪を引いてしまいます…!」
「私は大丈夫ですから、気にしないでください。貴女の方が床でなど寝たら風邪を引きそうですし」
「私はお邪魔させていただいている身です。鬼灯様を追い出して眠るわけにはいきません」
2人とも断固として譲らないので埒が明かない。
先に折れたのは鬼灯だった。
「…わかりました。では、一緒に寝ましょう」
「一緒に…ですか?」
「はい。こうすれば…」
「ひゃっ…!」
鬼灯は麗紅を抱きしめ、布団の中に入る。
「…問題ないでしょう?」
「は…はい…鬼灯様が…よろしいのなら…」
「では、このまま寝ましょう。おやすみなさい」
「…はい…おやすみなさい…」
この日は2人とも穏やかに眠りにつくのであった。