第1章 第壱ノ獄.怨みの中で
「わぁ…とても大きな浴場ですね」
「そうね、私はあの象さんが好きよ〜」
「可愛いですね」
「そうでしょう?あ、いいお湯加減よ、いらっしゃい」
「はい…ふぁ…気持ちいいです…」
「うふふ、麗紅ちゃんの可愛い声聴いちゃった♪」
「!失礼しました…今のは忘れてください…//」
「あら、赤面してるのも可愛いわ♪」
「お、お香さん…からかわないでくださいませ…//」
お香は照れている麗紅を微笑ましく見つめ、まるで本当の姉のように接する。麗紅もまた、お香を姉のように慕い始めた。
それから1時間弱、お香との風呂を楽しみ、麗紅は出てくる。
お香はまだ仕事が残っているからと、先に別れたのだった。
女湯から出てくると、既に鬼灯が立っていた。
「!!ほ、鬼灯様…すみません、お待たせしましたよね…」
「あぁ、いえ、大丈夫です。私も出てきたばかりですから」
「は、はい…」
「…!」
鬼灯の目に映ったのは、ダボダボの着流しから見え隠れする麗紅の肌。美しい白い肌には似つかわしくない、痛々しい痣や傷がいくつもあった。
「…麗紅さん、医務室へ行きましょう」
「え…?」
「その怪我、鬼といえど放っておくと化膿してしまうかもしれません」
「は、はい」