第7章 自由の理由
流石に2回目の着信まで無視することはできず、電話に出た。
「もしもし?」
「七瀬、今どこにいるの!?」
紫音は切羽詰まった声でそう言った。
「え…花音さんから聞いてないの?」
「…どういうこと?」
紫音の声がいつもよりワントーン低くなり、あたしは慌てて一階のリビングへ向かった。
リビングに入ると、花音さんが今にも泣き出しそうな顔であたしを見た。
「七瀬ちゃん…。」
紫音が険しい顔であたしを見た。
「…七瀬、どういうこと?」
「え?どういうことって…紫音の誕生日だから花音さんとドッキリ仕掛けたんだけど…。」
紫音は大きな溜め息をついてソファーに座った。
「ごめんね七瀬ちゃん。紫音があまりにも心配しだしたから私本当のこと言えなくなっちゃって…。」
「ああ…なるほど。」
「二人とも、悪ふざけが過ぎるよ。」
紫音が珍しく真剣な顔で怒り、花音さんは縮こまってしまった。
「ごめん、紫音。ちょっとした悪戯のつもりだったんだけどさ…。」
「いつも約束の時間の5分前には来る七瀬が来なかったら心配するに決まってるでしょ…。」
紫音は呆れた様に溜め息をついた。