第7章 自由の理由
「ごめんなさい、紫音…。」
ついに花音さんは泣き出してしまった。
大粒の涙を溢しながら何度も紫音に謝っている。
これはあたしの責任だ。
紫音がここまで心配すると思わず、軽率な行動を取ってしまった。
とても誕生日をお祝いする雰囲気では無くなってしまった。
「私、今日はお部屋で反省するわね…。」
そう言って花音さんは重い足取りで階段を上がって行った。
「紫音、ホントにごめん。まさかそんなに心配すると思わなくて…。」
「心配するよ。メールも返って来ないし電話にも出ないし…。」
「花音さんのこと責めないであげて?花音さん、最初は自分が隠れるって言ったんだけど流石に花音さんがいなくなったら冗談じゃ済まないくらい心配すると思ったから、あたしが隠れるって言ったんだ。」
紫音がじっとあたしを見つめた。
「…七瀬、ちょっと座って。」
そう言われ、紫音の隣に座った。
「目、瞑って。」
言われた通りに目を瞑った次の瞬間、額に鋭い痛みが走った。
紫音にデコピンをされたのだ。
「いった…!」
今のデコピンは結構痛かった。
「お仕置きね。」
「…すみません。」
「花音なら心配するけど七瀬ならしないなんてあり得ないよ。俺にとっては二人とも同じくらい大切なんだから。わかった?」
「はい…。」
痛む額を擦っていると、紫音が少し困った様に微笑んだ。
「…さてと、花音を連れてこようか。」
二人で花音さんの部屋に行くと、花音さんは枕が涙でぐっしょり濡れるくらい泣いていた。
その姿を見て、あたしと紫音は思わず笑ってしまった。
その後3人で楽しく誕生日会をし、あたしは紫音にピアスをプレゼントした。
今回の自分の行動を反省したと同時に、凄く大切にされているのだと再認識した。