第6章 自由な日々
「何なんだよお前ら。」
徹が苛立っているのが伝わってきたが、ついにあたしは笑いをこらえきれなくなった。
「似合わないわー!」
爆笑しながらそう言うと、紫音もお腹を抱えて笑いだした。
「うぜぇ…。」
徹が小さく呟き、シュリは楽しそうに笑った。
またこうしてシュリと徹も交えて笑い合える事が凄く嬉しかった。
「二人も座って?」
シュリに促され、あたしと紫音もパイプ椅子を並べて座った。
「七瀬、これ。」
紫音が千羽鶴が入った紙袋を渡してきた。
あたしはそれをシュリに差し出した。
「シュリ、これ。あたしと紫音と花音さんで作ったんだ。」
シュリは紙袋を受け取り、首を傾げた。
「花音さん…?」
「ああ、妖精さんのことだよ。」
どうやらシュリは妖精さんの名前を知らなかったらしく、紫音の言葉で納得した。
「あ、妖精さん!お元気ですか?」
「うん、元気だよ。」
紫音が微笑みながら答えた。
「妖精さん?誰だそれ。」
徹は何も知らないらしい。
「俺の姉だよ。」
「別所、姉ちゃんいたのか。何で妖精さんなんて呼んでんの?」
「それはちょっと事情があってね。」
徹は不思議そうな顔をしたが、それ以上何も聞かなかった。
「わー、千羽鶴だ!」
シュリは紙袋から丁寧に千羽鶴を取り出し、嬉しそうな顔をした。
「すげぇな。」
徹も少し驚いた顔をした。
「嬉しい。ありがとう!妖精さんにもお礼伝えて下さいね。」
シュリの言葉に紫音は微笑みながら頷いた。
嬉しそうにするシュリを、徹が優しく微笑みながら見つめていた。
「徹、あんたそんな顔するんだね。」
初めて見る徹の顔に、思わずそう言ってしまった。
徹は少し恥ずかしそうに視線をそらした。