第6章 自由な日々
広場は沢山の人で溢れかえっていた。
それにしても寒い。
あたしは紫音の腕にしがみ付いた。
「寒いーっ。」
「そうだねぇ。」
寒さに耐えながら点灯を待ち、広場の中心にある時計の針が5時をさした瞬間、一気に広場が輝いた。
綺麗なイルミネーションに、歓声が起こった。
「凄い綺麗!ね、紫音!」
柄にもなくはしゃいでしまった。
そんなあたしを紫音は微笑みながら見ていた。
「すみません、写真撮ってもらえませんか?」
一組のカップルに声をかけられて、紫音は快く引き受けた。
写真を撮ると、彼女の方が言った。
「撮りますか?」
紫音を見ると笑って頷いた。
「じゃあ…お願いします。」
イルミネーションをの前で今度は逆に撮ってもらった。
お互いにお礼を言って、そのカップルは寄り添いながら去って行った。
しばらくイルミネーションを見つめていた。
こんなに感動するのは、紫音と一緒に見ているからだろう。
「七瀬。」
「なに?」
「誕生日おめでとう。」
こんなに綺麗な場所で、不意打ちなんて卑怯だ。
優しく笑う紫音。
つられてあたしも笑った。
「ありがとう。」
「来年もその先も、ずっとお祝いするからね。」
「うん。紫音、好きだよ。」
普段はなかなか素直になれずにあまり言えないその言葉を、今は自然と口にしていた。
「俺も、好きだよ。」
その後、紫音が予約してくれていたレストランで夕食を食べて、誕生日プレゼントにイヤリングを貰った。