第6章 自由な日々
その女子高生二人組が、然り気無くあたしと紫音の隣に立った。
完全に紫音狙いだな…そんな事を思っていると、電車が少し揺れた。
すると、わざとらしく女子高生の一人が紫音の方に倒れた。
紫音は優しいから、咄嗟にその子を支えた。
「大丈夫ですか?」
「はい…すみません。ありがとうございます。」
「いいえ。」
紫音が優しく微笑むと、その子が紫音に話しかけた。
「あの…モデルとかやってるんですか?」
「え?いや、何もやってませんよ。」
今時こんなあからさまな手を使う子がいるのかと、思わず苦笑いをしてしまった。
「格好いいからそうかと思いました。」
流石の紫音も苦笑いをした。
相手は女子高生。
年下だし、今更だがこれだけ整った顔立ちをしている人と付き合っていればこういう事もあるのかもしれないが…段々と苛立ってきている自分がいた。
「彼女さんですか…?」
二人の内の一人があたしを見た。
「うん、そうだよ。」
あたしがニッコリと笑って答えると、何故か彼女達はあたし達から離れ、次の駅で降りた。