第6章 自由な日々
翌日、午前10時に紫音と駅で待ち合わせをした。
改札の前に紫音が立っていた。
「紫音、お待たせ…って、え?髪どうしたの!?」
紫音の髪が短くなっていて驚くと、紫音は照れ臭そうに笑った。
「いや、一昨日花音に、14日は七瀬の誕生日だから出かけてくるねって話したら、花音が急に張り切りだして…髪切った方が良いって言われて美容室行ってきたんだ。行けってうるさくて…。」
「ああ、なるほどね。似合ってるよ、格好いいじゃん!」
そう言って紫音の背中を叩くと、紫音の顔が少し赤くなった。
「ほら、行くよ。」
紫音は照れ臭そうに左手を差し出した。
あたしはその手を握り、二人で電車に乗った。
都内に向かう電車の中で、車両の端に立つあたし達を座席に座る女子高生二人組がチラチラと見てきた。
正確には紫音を見て盛り上がっている。
多分、格好いいとか何とか言っているのだろう。
徹と一緒に歩いている時も同じ様な事がよくあったから、あたしは何となく察した。
当の本人は全く気づいていないが。