• テキストサイズ

薔薇と向日葵~side story~

第6章 自由な日々


家に帰るとトイレから出てきた父と鉢合わせた。

「あ…ただいま。」

やましいことはないが、少し気まずかった。

「おかえり。」

父はそれだけ言うとリビングに入った。

どうやら今日は機嫌が悪くないようだ。

父に続いてリビングに入ると、母があたしを見た。

「おかえり、七瀬。」

「ただいま。」

何故か分からないが、今日は少し家庭内の雰囲気が違った。
いつもの様な重い空気を感じない。

自分の部屋に入ろうとすると、父に声をかけられた。

「七瀬。」

「なに?」

「シュリちゃん…だったか?春休みに入ったらお見舞いに行っていいぞ。」

「え?」

まさか父からこの話題を振ってくると思わず、驚いてしまった。

「いいの?」

「その子、白血病なんだろう?会えないまま亡くなったりしたらお前も後悔するだろう。」

縁起でもないことを言わないでほしかったが、そこは堪えた。

「…ありがとう、お父さん。」

それだけ言って自分の部屋に入った。
/ 150ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp