第6章 自由な日々
「…七瀬?大丈夫?」
紫音が心配そうにあたしの顔を覗き込んだ。
花音さんも心配そうな顔をしている。
二人の前では明るい自分でいたかった。
「大丈夫!ごめん、何か幸せ過ぎて嬉し泣きしそうになったわ!」
その場は笑って誤魔化した。
あっという間に家に帰る時間になり、あたしが一人で玄関から出ようとすると花音さんが不思議そうな顔をした。
「あら?七瀬ちゃん、一人で帰るの?」
「あ、うん。これからはそうする事にしたんだ。」
「どうして?夜は暗くて怖いじゃない。紫音、心配じゃないの?」
紫音は言葉に詰まり、困った様な顔をした。
「大丈夫だよ、妖精さん。あたしね、実は…人より凄く目が良くて、夜道も人より明るく見えるの。だから全然怖くないんだよ。」
「あら、七瀬ちゃん凄いのね!それなら怖くないわね。」
「うん、だから大丈夫だよ。」
夜道が怖いのではなく、危ないから紫音は送ってくれていたのだが、花音さんを納得させるためにそう言った。
「七瀬、気をつけてね。」
紫音が心配そうにそう言った。
「うん、ありがとう。」
「一応、家に着いたらメールしてね。」
「わかった。」
紫音があたしの耳元で囁いた。
「ありがとう。」
あたしは小さく頷いた。