第4章 紫音の両親
失礼な態度をとったというのに、紫音の両親は少しも怒らなかった。
これがあたしの父だったら、叩かれるどころでは済まなかっただろう。
「あ、七瀬。そろそろ帰らないと。」
紫音が時計を見てそう言った。
「あ、ホントだ。あの…失礼な態度とってすみませんでした。」
紫音の両親に頭を下げると、お母さんに抱きしめられた。
「いいのよ。あなたみたいなハッキリした性格の子大好き。」
頬に軽くキスをされて、外国人だな…と実感した。
「七瀬ちゃん。なかなか時間が合わないかもしれないけど、今度ゆっくり食事でもしよう。」
「はい!」
お父さんのその言葉も嬉しかった。
「じゃあ俺、七瀬送ってくるから。」
紫音がそう言うと、お父さんとお母さんは玄関先まで見送ってくれた。
「お邪魔しました。すみません、テーブル散らかしたままで…。」
「そんなの気にしなくていいから、いつでも遊びに来てね。」
お母さんに頭を撫でられ、照れてしまった。
自分の親にも撫でられた事ないのに。
「行こっか、七瀬。」
「うん。」
お父さんとお母さんに笑顔で見送られながら、紫音の家を出た。