第4章 紫音の両親
紫音はプレゼントを持って花音さんの部屋に行き、あたしは食器を下げて洗い物をしていた。
すると、突然リビングのドアが開いた。
「あなた、どちら様ですか?」
振り向くと、外国人の女性と日本人の男性が立っていた。
あたしはすぐに紫音の両親だと気付いた。
あたしは洗い物をやめて慌てて挨拶をした。
「は、初めまして。石川七瀬です。夜分にお邪魔してすみません。」
「あなたが七瀬ちゃん…。」
紫音のお母さんがあたしの傍に立った。
深く頭を下げるあたしに、優しく言った。
「顔を上げて。紫音から話は聞いてたの。」
顔を上げると、紫音と花音さんよりも透き通った灰色の瞳と目が合った。
リビングのドアが開き、紫音が入ってきた。
「あれ?今日は帰るの早かったね。」
紫音が私の隣に立った。
「彼女が七瀬だよ。」
「今、御丁寧に挨拶してくれたよ。」
そこで初めて紫音のお父さんが口を開いた。
背が高くて、口調は紫音と同じで穏やかで優しそうな人だ。
「七瀬ちゃん、まだ時間は平気?」
紫音のお母さんに聞かれて、腕時計で時間を確認した。
もう少しで8時になるところだ。
「あと30分くらいなら大丈夫です。」
「そう。良かったら少しお話ししましょう?」
紫音を見ると、少し申し訳なさそうにしていた。
「急だし、無理はしなくていいよ。」
「いや、大丈夫だよ。」
リビングのソファーにあたしと紫音が隣同士で座り、正面に紫音の両親が座った。