第4章 紫音の両親
ふと、先程花音さんの様子が変わった事を思い出した。
「ねぇ紫音、さっき花音さんさ…。」
「…うん、一瞬だけ戻ったのかもね。あんなの初めてだったから驚いたよ。あれが、本当の花音だよ。」
紫音は悲しそうに笑った。
「花音さんさ、いつか妖精さんから戻るかもよ?」
「それはそれで嬉しいけど…そしたら花音は、自分と向き合わなきゃいけないから。そしたら凄く辛いだろうし…そう思うと少し複雑かな。」
「そうだよね…でもその時はあたし達が全力で支えようよ。」
「うん、そうだね。」
頷いてはいるが、紫音の表情は晴れなかった。
あたしはかける言葉が見付からず、紫音の手を握る事しかできなかった。
「…そろそろプレゼント置いてこようかな。」
紫音がニッコリと笑って、場の空気を変えてくれた。
「…うん。あたしは片付け始めるよ。」
「後で俺がやるからいいよ?」
「いいから。早く行きな、紫音サンタさん!」
紫音の背中を叩くと、痛いよと言いながら笑った。