第4章 紫音の両親
今日は、12月24日。
クリスマスイヴだ。
紫音は明日一日中バイトのため、今日紫音の家でクリスマスのお祝いをする事にした。
あたしは午前中から紫音の家に来て、花音さんも含め三人でツリーの飾り付けをしていた。
「今年もサンタさん来るかしら。」
「きっと来るよ。」
いつもに増して上機嫌な花音さんに、紫音も嬉しそうだった。
数日前に紫音から聞いたのだが、花音さんが妖精さんになってからは毎年クリスマスは紫音がプレゼントを買って、花音さんが寝た後に枕元にプレゼントを置いているらしい。
「そう言えば、ずっと聞こうと思ってたんだけど七瀬の誕生日っていつ?」
飾り付けをしながら紫音が聞いてきた。
「あたしは2月14日だよ。」
「バレンタインデーの日だね。」
「そうそう。覚えやすいでしょ?紫音は?」
「俺は4月10日だよ。」
「そう言えば前に相田先輩が、誕生日が早い奴は特だなって言ってたもんね。」
「うん。七瀬の誕生日は二人で過ごそうね。」
あたしは構わないのだが、紫音はクリスマスも花音さんと三人で過ごす事を少し申し訳なく思っていると言っていた。
「三人でもいいのに。」
「流石に誕生日くらいはね。結婚したら二人きりになれる事も無くなるだろうし…。」
この時あたし達は、あたしが卒業したら結婚すると当たり前の様に思っていた。
実際にケンカをする事も無いし、お互いに浮気などする性格でもなく、あたし達の関係は落ち着いているからこの先も別れる事は無いだろう。
「そう言えば、シュリと徹の誕生日知らないや。」
友達なのに知らないのは、少し寂しかった。
今度聞いてみよう。
「七瀬、俺予約したケーキ受け取ってくるね。」
「うん、わかった。」
ケーキ、と聞いて花音さんの表情が輝いた。
「今年はどんなケーキかしら。」
「それは夜までのお楽しみだよ。妖精さん、七瀬と飾り付けして待っててね?」
「わかった。気を付けてね?ケーキ落としちゃダメよ?」
「大丈夫だよ。」
紫音は笑いながら、行ってくるねと言って家を出た。