第3章 忘れられない1日
「そうだったんだ…。」
「なのに…なに事故なんかにあってんのよ。シュリのこと悲しませてんじゃないよ…。」
徹が今、大変な状態なのは分かっている。
それでもあたしは文句を言ってやりたかった。
赤信号なのに渡るなんて、徹らしくない。
俯くあたしの背中を撫でながら紫音が言った。
「羽山君は、必ず目を覚ますよ。彼がシュリを置いていなくなるわけないよ。」
「そう思いますか…?」
紫音にそう聞き返すシュリの声は震えていた。
紫音は優しく微笑みながら頷いた。
あたしが何も言えずにいると、紫音がシュリの手元を見て何かに気付いた。