第3章 忘れられない1日
シュリの病室の前まで来ると、紫音に肩を叩かれた。
振り向くと、指であたしの口角をつり上げた。
「笑顔でね。」
無意識に顔が強張っていたのだろう。
あたしは大きく頷き、病室のドアを開けた。
「シュリ、久しぶりー!」
やはりシュリは痩せていて、帽子を被っていた。
恐らく髪が抜けたのを隠すためだろう。
シュリを抱きしめると、あまりの細さに内心驚いた。
でも、それを顔に出しては駄目だ。
「七瀬、久しぶり。紫音先輩もお久しぶりです。」
心なしか、シュリの元気が無いように見えた。
今日はあまり体調が良くないのだろうか。
「体調はどう?」
紫音がそう聞くと、シュリは笑って頷いた。
「今は大丈夫です。」
その言葉を聞いて少し安心した。