第3章 忘れられない1日
翌日、駅に行くと先に紫音が来ていた。
「お待たせ!」
「大丈夫。俺も今来たところだよ。」
新幹線に乗ると、紫音が鞄の中から何かを取り出した。
それは、折り紙で作られた御守りだった。
「もしかしてこれ、花音さんが作ったの?」
「うん。少し遠出するって話したら無事に帰って来れるようにって。七瀬の分も作ったんだ。受け取ってあげてくれる?」
「勿論だよ。」
「ありがとう。俺が青で七瀬がピンクらしいから…はい。」
紫音に渡されたピンクの折り紙で作られた御守りには、ひらがなで"おまもり"と書いてあった。
一生懸命折り紙を折る花音さんを想像すると笑みが溢れた。
「本当に優しい人だよね。」
「…妖精さんになる前も、優しくて、明るくて、誰にでも好かれる人だったんだ。」
紫音が少し悲しげな瞳で御守りを見つめながら話した。
「頭も良くてね。唯一の欠点って言ったら…料理が壊滅的に下手だったことかな。」
紫音は冗談混じりにそう言って笑った。
「そうなんだ。」
あたしも紫音に合わせて笑った。
長野には新幹線を使うと約1時間で着く。
そこからシュリが入院している病院まではタクシーで行く予定だ。