第10章 運命の日
大阪に来て4日目の朝、紫音のお父さんから電話がかかってきた。
話をしている内に紫音の表情が険しくなっていき、電話を切ると小さく溜め息をついた。
「何かあったの?」
そう聞くと、紫音は真剣な表情であたしを見つめた。
「昨日、七瀬の両親がうちに来たって。娘がいなくなったことにお前の息子が関わってるんだろうって詰め寄ったらしい。」
「やっぱり…。」
これも想定内ではあるが、やはり紫音の家族に迷惑をかけたと思うと申し訳なくなった。
「本当に、申し訳ないよ…。」
「そこは気にしなくていいよ。俺の両親も覚悟してたことだから。ただ…。」
紫音はそこで口をつぐんだ。
「ただ、なに?」
「七瀬のお父さんが帰り際に、探偵を雇うって言い残して帰ったらしくて…。」
「探偵っ?」
父のことだ、知り合いの警察関係者にでも頼んで探すのかと思っていたから、まさかわざわざ探偵を雇うなんて…想定外のことに少し驚いた。