第10章 運命の日
案の定、夜9時を過ぎると父から鬼のように着信が入った。
鳴り止まない着信音に嫌気がさし、あたしはスマートフォンの電源を切った。
今は大阪のビジネスホテルに身を潜めている。
しばらくはここに滞在する予定だ。
「想定内だけどさ、やっぱりうざったい。」
そう愚痴を溢すと、紫音が苦笑いをした。
「ほとぼりが冷めるまでは仕方ないね。」
「まあね…紫音の家に迷惑かけてないかな。」
「うちに来たら父さんが連絡してくれるって言ってたけど、今のところ何の連絡もないから大丈夫だと思うよ。」
「それならいいけど…。」
その後3日間は父から着信が入るだけだったが、ついに父が動き出した。