第10章 運命の日
駅に着くと、先に紫音が来ていた。
大きめのボストンバックを二つ持って改札の前に立っていた。
あたし達はお互いの顔を見ると、何も言わずに手を繋いだ。
紫音の左腕に、青いビーズのブレスレットがついていた。
このブレスレットは、花音さんがくれたものだ。
そしてあたしも、左腕に色違いのブレスレットをつけている。
「紫音、ブレスレットつけてきたんだね。」
そう言うと、紫音は照れくさそうに笑った。
「うん。なんか安心するからさ。」
「あたしもつけてきたよ、ほら。」
左腕を紫音に見せると、彼は嬉しそうに微笑んだ。
「花音が、どんなに離れていても二人の幸せを願ってるって。」
そんな事を言われたら泣いてしまう。
だけどあたしは強くならなくてはいけない。
だから、必死に涙をこらえて笑って頷いた。
あたし達はまず、関西方面へ向かった。