第9章 決意と覚悟
いつも通り、部屋でスマートフォンをいじって暇潰しをしていると、突然着信音が鳴り響いて驚いた。
画面に表示された、久しぶりに見る名前。
"別所紫音"
ずっと待っていた。
だけど怖くもあった。
紫音が出した答えを聞くのが怖くて、緊張しながら電話に出た。
「も、もしもし…?」
声が震えそうになるのを必死で抑えた。
「七瀬、久しぶり。連絡するのが遅くなってごめんね。」
久しぶりに聞く愛しい声は、少し強張っていた。
この1ヶ月、紫音は何を考え、どんな答えを出したのだろう。
あたしは何を言われても受け入れようと思っている。
「久しぶり。待ってたよ。」
「答え、出したから。これから会える?」
鼓動が速くなるのを感じた。
良い意味ではなく、緊張や不安で。
「うん。会えるよ。紫音の家に行けばいい?」
「うん。ありがとう。待ってるね。」
電話を切った途端に体の力が抜けた。
紫音と一緒にいたい。
私の気持ちは変わっていない。
だけどもしも、繋いだ手を離されてしまったら…。
紫音を信じていない訳ではないが、本人から直接話を聞くまでは安心できなかった。