• テキストサイズ

薔薇と向日葵~side story~

第9章 決意と覚悟


七瀬の両親に挨拶に行った日、七瀬が泣きながら言った言葉。

「七瀬が言ったんだ。俺と一緒にいたいって…っ。」

"一緒にいる"
俺達にはたったそれだけの事すら許されない。
ただ、七瀬はそれ以上何かを望まなかった。
たった一言、それだけを願うように口にした。
あの時の七瀬の姿が頭から離れない。

「紫音、七瀬ちゃんもそれを望むなら、私はそれでいいと思うわ。ただやるからには途中で投げ出しては駄目よ。何があっても七瀬ちゃんを守って、幸せにしてあげなさい。」

花音の凛とした声、そして言葉が、俺に覚悟を決めさせてくれた。

うつ向いていた顔を上げると、花音は柔らかな笑みを浮かべていた。

「私はいつだって二人の味方よ。どんなに離れていても、二人の幸せを願っているわ。」

花音の言葉に両親も頷いた。

「私達に迷惑がかかるなんて、そんなことは気にしなくていいのよ。家族なんだから。」

母さんが優しく俺の肩を抱き寄せた。
父さんは深い溜め息をついたが、その顔は見守る様な優しい笑みに変わった。

「助けが必要な時は連絡しなさい。七瀬ちゃんのご両親に何を聞かれても、絶対に何も答えないから大丈夫だ。」

この時、俺の中で答えは出た。
後は七瀬にこの話をして、彼女の返事を聞くだけだ。
/ 150ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp