第7章 自由の理由
日曜日になった。
あたしは朝から緊張してしまい、いつもより両親の顔色を伺ってしまった。
父は普段と変わらないが、母は少し緊張している様に見えた。
午後1時。
玄関のチャイムが鳴った。
恐らく紫音だろう…あたしはインターホンで相手を確認した。
モニターにはスーツに身を包んだ紫音が映っていた。
あたしが玄関に向かおうとすると、母も一緒に来た。
母が玄関のドアを開けると、紫音は普段と変わらない穏やかな笑みを浮かべた。
「初めまして。七瀬さんとお付き合いしている別所です。」
「…初めまして。七瀬の母です。どうぞ、上がって下さい。」
「失礼します。」
母と紫音は和やかな雰囲気で挨拶を済ませた。
問題はここからだ。
あたしが緊張しているのが伝わったのか、紫音は優しく微笑みかけてくれた。
"大丈夫"
そう言うように。