第7章 自由の理由
どう切り出そうか悩んでいると、先に母が口を開いた。
「お父さんには告げ口しないから、話してみなさい。」
母がこんな事を言うと思わず、驚いた。
「紫音はさ、あたしより1歳年上だから3月に大学卒業するんだ。もう就職先も決まってるの。」
「そう…それで?」
「それで…これは結構前から考えてた事なんだけど、あたしが大学卒業したら紫音と結婚しようと思う。」
その瞬間、母は眉間に皺を寄せた。
「結婚…?」
「うん…紫音も一度あたしの両親に挨拶したいって言ってるんだよね。」
母は小さく溜め息をつくと、あたしを見つめた。
「別所君とは別れなさい。」
「え?」
「その方が貴女達のためよ。」
母の言葉の意味が分からず、突然そんな事を言われて戸惑った。
「それ、どういう意味?」
「…この事はお父さんには話さないから、早く別れなさい。」
「どうして?」
その後、いくら母に問いただしても母は「別れなさい。」の一点張りだった。