第7章 自由の理由
紫音の卒業が近付くに連れ、あたしは両親に紫音の話をしなければと毎日考えるようになった。
母は兎も角、父の反応が怖かった。
いくら寛大になり"躾"も無くなったとはいえ、やはり長年蓄積された恐怖心はそう簡単に無くならない。
悩みに悩んだ末、あたしはまず母に話をすることにした。
「お母さん、ちょっといい?」
キッチンで洗い物をする母に声をかけた。
「なに?」
母は振り向きもせずに返事だけした。
「紫音のことなんだけど…。」
そう言うと、母は一旦洗い物をやめてあたしを見た。
「座って話しましょう。」
母に促され、ソファーに座って話をすることにした。