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薔薇と向日葵~side story~

第7章 自由の理由


「いやあああ!!」

花音さんは叫び声を上げながらリビングから飛び出し、階段を駆け上がった。

リビングのドアの一番近くにいたあたしは、すぐに後を追った。

「花音さん!!」

花音さんは三階のベランダに飛び出すと、そこから飛び下りようとした。

「駄目!!花音さん!!」

「離して!!死なせて!!」

あたしは必死に花音さんの体にしがみ付いた。
すぐに紫音が来て、花音さんをベランダの柵から引き剥がした。

紫音は暴れる花音さんを力付くで部屋に連れ戻し、彼女の上にまたがり床に押さえ付けた。

「七瀬、薬ある!?」

あたしは手に持っていた薬の袋から頓服薬を取り出した。

「あ…水、水がない…っ。」

「いいから頂戴!!」

薬を渡すと、紫音は無理矢理花音さんの口を指で開けて飲ませようとした。

「花音、口開けて!これ飲んで!!」

「やめて!!いやあ!!」

花音さんは薬を飲むことを拒み、紫音の指を思いきり噛んだ。
紫音は痛みに顔を歪めたが、それでも花音さんの口の中に薬を入れた。

そこに、お母さんが水を入れたコップを持って部屋に入ってきた。

「花音、お水よっ…飲みなさい!」

お父さんと紫音で花音さんを押さえ付けながら体を起こして水を飲ませ、なんとか薬を飲ませた。

「死なせてよ!!」

パニック状態の花音さんはお母さんの手からコップを奪うと、それを投げた。

そのコップがあたしの頬に当たった。
幸いコップは割れずに床に落ち、それを見た花音さんは暴れるのをやめた。

「七瀬、大丈夫?」

紫音が心配そうにあたしに寄り添った。

「大丈夫大丈夫…。」

本当は驚いたし凄く痛かったが、今はあたしのことよりも花音さんが心配だった。
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