第7章 自由の理由
その後花音さんに変化はなく、夏休みの終わりに紫音は一般企業から内定を貰った。
今日は紫音の内定のお祝いをするために、紫音の両親、紫音、花音さん、あたしで紫音の家で夕食を食べていた。
「今日はみんなが集まって嬉しいわ。」
花音さんはいつもに増して上機嫌だ。
そんな花音さんを微笑ましく思っていると、突然花音さんが頭を抱えた。
「妖精さん…!?」
真っ先に紫音が立ち上がり、あたしは薬を取りにキッチンへ向かった。
いつもならパニックになった時は泣き叫ぶのに、今日は違った。
頭を抱えながらフラフラと歩きだし、紫音やお父さんがそっと近付くと拒絶した。
何かがおかしい。
その場にいる全員が戸惑った。
突然花音さんの動きが止まり、顔を上げて振り返った。
「妖精さん…?大丈夫?」
紫音が優しく声をかけると、花音さんが戸惑った様子で紫音を見た。
「なに言ってるの紫音…私は花音よ。」
この口調、声のトーン。
以前、クリスマスパーティーをしている時に一瞬戻った時と同じだ。
次の瞬間、花音さんの表情が一変した。