第5章 脅迫の時間
放課後になって、
渚くんはいつもの様にわたしを誘いに来た。
「綾乃ちゃん、帰ろうか。」
『あのっ、ごめん。
今日はちょっと殺せんせーに用があるから・・・
先に帰っててくれる?』
嘘をつくのは凄く辛かった。
渚くんは少し不思議そうにしながらも、
わかった、と それ以上は聞いてこなかった。
渚くん・・・ごめんなさい。
手を振りながら、
この後のことを考えると気が重かった。
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渚くんが帰ってしまって、
しばらくすると既に教室は綾乃1人になっていた。
カルマくんが来るような気配はない。
・・・帰ってもいいのかな?
そんな淡い期待をしながら、
とりあえず下駄箱へ向かった。
靴を履き替え、校舎から出た瞬間ーーー
「あれ?帰っちゃうの?
ーーー綾乃ちゃん」
いま1番会いたくなかった人がそこに居た
どうやら待ち伏せされていたようだった。
『・・・そんなつもりじゃ、』
「ふーん、まぁ逃がさないけどね」
わたしの言い訳はカルマくんの言葉に遮られる。
「こっち、来て。」
黙ってカルマくんについていく。
校舎から下って帰る山道を反れて、
どんどん森の奥へ進んでいった。
「ここの山けっこう広くてさ、
探索してたらいいトコ見つけたんだ。」