第3章 お詫びの時間
綾乃ちゃんの家は最寄り駅から徒歩10分くらいで着いた。
「ここかな?」
赤い屋根の可愛らしい一軒家。
ドキドキしながらインターホンを押そうとした時、
ガチャリと家のドアが開いた。
僕はびっくりして動けずにいると、
綾乃ちゃんの雰囲気によく似た
スーツ姿にヒールを履いた女性が家から出てきた。
綾乃ちゃんのお姉さんだろうか・・・?
「あら、あなたは・・・?
綾乃のお友達?」
友達じゃ、ないんだけどな。
「クラスメイトの、潮田渚です。
綾乃ちゃん風邪ひいたって聞いたんですけど・・・」
「ああ、そうだったの・・・」
お姉さんは、はぁと困ったようにため息をついた。
「はい、お見舞いに来たんです。
お邪魔してもいいですか?」
「ええ、どうぞ。
まったくあの子ったら・・・他人にまで心配かけて・・・」
お姉さんは少しイライラしてるようだった
・・・なんか僕の母さんと似ているな、と思った。
「あ、ごめんなさいね。
私はこれから仕事に戻らなきゃいけないから、
勝手に上がってちょうだい。
いまあの子1人だから。
綾乃の部屋は2階に上がって一番奥の部屋よ。」
「わかりました。ありがとうございます。」
ゆっくりしていってね、
と一言残してお姉さんは足早に去って行った。
知らない男子が家に上がるのに心配とかないのかな?
・・・そもそも男子として認識されたか危ういけど。