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妄想恋綴り

第1章 常連さん_沖田総悟




珍しく結野アナの天気予報が外れた。

一日中穏やかな日差しが差すとの予報は
突然振り出した雨によって破られた。

慌てて外に出していた
野点傘と緋毛氈を仕舞おうと通りに出ると、
いつもの席に沖田さんがいた。

おかしいな、今日はもうとっくに来てたのに。


顔を向け、こちらを見据えると
私の心を見透かした様にぼそりと呟く。

「雨宿りでィ」

「あ、あぁ・・・」

二回目の来店と、初めてしっかりと目が合ったことへの
驚きやら嬉しさやら恥ずかしさやらが織り交ざって
そんな言葉しか出なかった。

何か、何か話さなくては。


「あの...濡れちゃう、から
中、いらっしゃい..?」

こんなに長く沖田さんと話をするのは初めてで
うまく言葉が紡げない。

ちゃんと伝わっているんだろうか。


口は緩く結んだまま

緋色の瞳は、じっと私をとらえて離さない。


迷惑だったかな・・・


「じゃ、お言葉に甘えて。失礼しやす」

淡々とそう告げると、沖田さんはするりと私の隣を抜けて
店の中へと入っていった。

私ばっかり気にしちゃって・・・、やだなぁ。


「この通り雨め。」


少し恨めしく空を見上げたけれど
そんな私の心は
すぐに沖田さんにまた会えた喜びに染められてしまった。






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