第4章 BOYS LIFE <双子2歳>
「翔さん、自宅、ディズニーランドの側でしたよね?」
「そうだけど?」
小山の質問の意図がわからず聞かれるままに答える翔。
「智くんと和くんの保育園もそうですよね?」
「確かに近くと言えば近くだよ」
ニヤリと笑い翔の顔を見る小山。
「じゃ、翔さん、中継、よろしくお願いします!」
「ええ?なんで?おれ?行くの?」
訳が分からないと言う顔で翔が大声を出す。
驚きのあまり、片言になっている。
「横山さんには今、話して了解を得ました。
錦織さんには横山さんが話を通すそうです」
「ねえ、ちょっと待って?どういうこと?」
「翔さん、参観が終わって急いで局に来るって大変ですよね?
なら局より遥かに近いディズニーランドへ取材なら移動時間、短縮出来るじゃないですか?
しかも夏のイベント、ずぶ濡れになるやつなんですよ。
視聴者的にも中継レポーターの女の子より翔さんが濡れた方が喜びますよ?
水も滴るいい男ってやつですよ」
「いや、おまっ、それおかしくない?公私混同というか…」
焦る翔は普段の綺麗な日本語はどこへやら?
「翔さん、お仕事です。経費節減ですよ」
「経費節減って誰が行ってもかかる経費は変わらないじゃん?」
「変わりますよ?
外部よりも内部の方が安いじゃないですか?
中継終わったらそのまま直帰でいいそうです」
にっこりと笑って小山は言った。