第15章 SAKURAドロップス <双子3歳>
カフェを出て駐車場に向かう途中、双子が桜の木の下で立ち止まる。
駅前にシンボルのように立つ大きな桜の木。
公園と同じように満開の桜の花で薄紅色に染まっている。
「ちょっとまってぇー」
そういうが早いか2人してしゃがんで桜の花びらを手に取る。
ヒラヒラと降る花びらの下、双子は微笑みを浮かべ地面に落ちた桜を手にする。
「二人とも持って帰るの?」
そう聞いてきた潤に勢いよく頷く2人。
「じゃ、これに入れて帰りな?」
潤に渡されたビニール袋にそっと手のひらの上のピンクを収める。
「よし、帰るよ?」
翔の号令で帰宅の途についた。
家に帰ると手を洗い、和室の仏壇に向かった智と和也。
そっと持っていたビニール袋から桜の花を取り出し仏壇に備えてから手を合わせる。
その姿を見る3人の眼に涙が浮かぶ。
手を合わせた双子が振り返るタイミングで慌てて涙を拭った3人。
そんな3人に智と和也が飛びつく。
服についていた桜の花びらがフワリと舞った。
「ふふふ、二人とも桜の妖精みたいだね」
そう言って笑う翔。
「よし、夕飯の支度してくる」
「あ、俺も手伝う!」
バタバタとキッチンに向かう潤と雅紀。
今日も櫻井家は平和です。
<SAKURAドロップス<了>>