第4章 BOYS LIFE <双子2歳>
「『楽しみを見つけないと』かぁ…。
自分としては楽しんでるんですけどね…」
小さく呟いてまた、スケジュール帳に目を落とした。
「ほんと、どうしようかな?」
参観の内容が几帳面に書かれたメモともにらめっこする。
もちろん、メモは潤が保育園に掲示されてたものを纏めてくれたもの。
本当に気遣いの男だとメモを見ながら思う。
「おはようございます~」と入口から聞こえた声に条件反射で「おはよう」と答えながら声の方に目を向けると後輩の小山がいた。
「翔さん、おはようございます!
ここいいですか?」と聞いてくる小山。
「お、小山、おはよう。構わないよ」
翔の答えを聞いて小山は隣の席に腰を下ろした。
テレビ日本は数年前に行われた社屋移転の際に殆どの部署でフリーアドレス制が導入された。
パソコンはノートパソコンが支給され、局内は無線LAN接続が出来るようになった。
内線は会社支給の携帯と連動しているので問題ない。
外勤のある社員にはモバイルルーターも支給されている。
私物や資料は個別のキャビネットが割り当てられている。
結果、局内の指定エリア内ならどの座席で仕事をしていいことになった。
部門間の垣根が無くなったと概ね評判も良く、一部ではそれが視聴率に反映されているのでは?とも言われている。
気がつくと社長が隣で仕事をしているというサプライズもあるとかないとか?
いまのところ、翔はそのサプライズに遭遇したことはない。