第1章 少しだけスキャンダル<双子0歳>
「翔、お疲れさま。
辛かっただろうけど…いい会見だったと思うよ。」
「東山さん…すみません、ありがとうございました」
そう言って深々と頭を下げる櫻井。
「バカ、上司が部下を守らなくてどうするんだよ?
それにしても…ホントムカつくよなぁ、なんなんだよ、あの報道」
会見時と違い、至ってフランクな言葉遣いの東山。
「すみません…」
それしか言えない櫻井。
「お前、もう謝るな。
別にお前、なにも悪いことしてないだろう?
で、今日も病院?」
「はい、仕事が終わり次第、寄る予定です。」
「そっかぁ、退院の目処とか立ったの?」
「あ、その件なんですけど…。
弟の話だとゆっくりながらも体重が増えてきたそうで来週には退院できるそうです。
なので…育児休職の開始をお願いしたいんですが…。」
非常に言いづらそうにいう櫻井。
一方、東山は予定通りと言わんばかりの顔で了承を出した。
「来週からね?
じゃぁ、最後の出演日にちゃんと挨拶しなよ、視聴者にむけて。
時間取るようにディレクターに言っとくからさ」
上司の顔っていうよりは兄のような慈しみをこめた目線で櫻井を見る東山。
これから櫻井の背負うものを少しでも軽くしたいという思いを込めて言葉を継いだ。