第3章 a day in our life <双子2歳>
「智くん?お目目、瞑ってもダメだよ?
それじゃ熱、下がらないしね」
子どもらしい素直な反応に負けそうになる心を叱咤しながら翔が言う。
「智くんはなんでお薬いやなの?」
「おくしゅり、おいちくないの」
「雅紀、そうなの?」
それまで見ていた雅紀に確認する翔。
「うん、今回の奴は若干、苦味があるんだよね…。
でもキチンと乳糖混ぜてるし、いままでも処方してるやつだよ?」
小声で答える雅紀。
「だよね?」
「うん」
翔と智の攻防戦を見つめている和也。
「さとしぃ…おくしゅり…」
「ねえ、智くん?お薬飲んでお熱下がらないと明日、保育園行けないよ?それでいい?」
それを聞いてた和也が先に反応する。
「さと、ほいくえん、ない?」
「うん、お熱が下がらなかったら行けないね。
だよね?雅紀?」
「うん、熱が下がらなかったらOKは出せないよ。
さと?お薬、頑張ろう?どうしても嫌なら注射でもいいけど…」
正直、そこまで酷くも緊急性もない。
ただ熱が下がらないまま寝ても充分な睡眠が確保出来ない。
それは正直、避けたいのが雅紀の判断。
注射と聞いて智が反応する。
「ちっくん、やー!しゃと、ちっくん、ない~」
半泣きの智を和也が心配そうにみている。
「しゃと、おくしゅり…しゅる」